高野山大学に入学して、1年目からサンスクリット語を受講した。
もともと語学はそれほど得意ではないが、
まず、仏教の経典がサンスクリット語で書かれていて、これはやらないといけない思った。
さらに、「サンスクリット語は欧印言語(インド・ヨーロッパ語族)の先祖である」と聞いていたので、それを確かめる機会だと、俄然興味が湧いた。
最初は、英語と同じような構造だろうと思っていたが、いやいやそう簡単ではない。やり始めると、すぐに手強いことがわかった。
名詞には多数(9つ)の格変化があり、動詞には人称・数・時制・法など多様な変化がある。
さらに、「現在組織・直接法・過去」というのがある。
なんじゃこりゃ、現在組織で過去・・・意味不明
語尾は性・数・格によって複雑に変化し、いくつかの単語が連なってできる複合語の解釈も難しい。
さらに前後の語が連結して発音変化する連声(サンディ)も極めて多い。
いや〜〜、厄介。もう無理!
結局、4年ほど勉強したが、言語構造が大体わかった段階で、それ以上の学習をやめてしまった。
諦めは早い方だ!
元来、語学は得意ではない。科学者をやっていた時には、英語は使えないと商売にならないので、下手くそながらなんとか使えるようにした。そのプレッシャーは退職後にはない!やめようー。
さらに、学習を止めた背景には、AIの精度向上があり、今や文法解析や翻訳もかなり正確に行えるようになった。読むだけなら、
「サンスクリット語恐るにたらず!」
と勇ましいことを思った。
結局、今でもサンスクリット語は自力では読めない。
ここで、語学学習の苦労話をしたいわけではない。
2つ目の興味、「サンスクリット語は欧印言語の先祖」の視点から、サンスクリット語を眺めてみたい。
ヨーロッパでサンスクリット語を話題にした
2022年、スペインのサン・セバスチャンで準弾性中性子散乱の国際会議があり、招待されたこともあり、出席した。まだ、前職業の余韻が残っていた頃だ。

10名ほどの丸テーブルの昼食の席で、私が退職後に高野山大学へ入り、仏教とサンスクリット語を学んでいる話をすると、思いがけない反応が返ってきた。
「え〜〜、サンスクリット語をやっているのか!」
「もう読めるのか?」
「英語とどう違うんだ?」
仏教なんかより、サンスクリット語の方に強い関心が集まったのだ。
参加者はドイツ、イギリス、スペイン、日本など様々だったが、皆とても食いつきが良かった。
日本では、こんな経験はなかった。
その場の議論は次のような内容だった。
「ヨーロッパには多くの言語がある」
「それぞれ、ルーツがある。例えば、ラテン語もルーツの一つである」
「サンスクリット語がヨーロッパ語の祖先、という説明は単純すぎる」
この経験から私は、
「ヨーロッパには、サンスクリット語以外にも、ラテン語やギリシャ語など、今のヨーロッパ言語の先祖と思われる言語がたくさんあるな〜」
「一体、どんな関係なのだろう」
「サンスクリット語の立ち位置は、どうなんだろう」
と、今思えば、稚拙な疑問に取り憑かれた。



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