よく「サンスクリット語はヨーロッパ語の祖先」と言われる。
しかし、これは正確ではないのが分かってきた。
なぜ、間違えていたのだろう!
すでに偉い言語学者の先生が多数おられて、ある程度の結論は出ているようだ。
私が知らなかっただけ!
言語学的には、サンスクリット語はヨーロッパ諸語と同じ
「印欧祖語(Proto-Indo-European)」から分かれた姉妹言語であると考えられている(¹)。
印欧祖語とは、インド・ヨーロッパの言語の原型となった言語であり、今は文献としては残されていない、「復元された言語」であるらしい。
そんな文献にもない言語をどのように復元したか、素人としては、興味津々である。
学者先生は、サンスクリット語、ギリシャ語、ラテン語、ゲルマン諸語などを比較し、共通する音・語形・文法構造をもとに推定したようだ(²)(「すご〜い」、心の声です)。
たとえば、父は
・サンスクリット語:pitṛ
・ラテン語:pater
・英語:father
音も意味もよく似ている。
こうした対応関係が多数見られることから、共通の祖語の存在が想定された。
その結果、復元された印欧祖語には、
・名詞の格変化
・動詞の人称変化
・文法はサンスクリット語にかなり近い
などがあり、サンスクリット語と非常によく似ている(³)(らしい)。
つまり、
ヨーロッパ諸語と同じ祖語から生まれた「姉妹言語」と考えられている。
サンスクリット語は「サンスクリット語はヨーロッパ語の祖先」ではないが、よく似た構造を残しているため「祖先」と間違われるのだろう。
印欧祖語はどこで話されていたのか
では、その印欧祖語はどこで話されていたのだろうか。
現在もっとも有力とされているのは、
黒海とカスピ海の北方草原(ウクライナ〜南ロシア)
である。これは「草原説(クルガン説)」と呼ばれている(⁴)。
理由の一つは、復元された語彙の内容である。
そこには、
・馬
・車輪
・轍
・羊や牛
などの語が含まれている。
一方で、
・稲
・熱帯植物
・海洋漁業
に関する語はほとんど見られない。
これは、温帯草原で牧畜と移動生活を営んでいた人々の言語であった可能性を示す(⁵)。彼らは次第に西へ(ヨーロッパ方面)、東へ(イラン・インド方面)拡散し、
その結果、ギリシャ語、ラテン語、サンスクリット語などが生まれたと考えられている。
個人的には、やっとサンスクリット語の位置付けが分かって、ほっとした瞬間だった。

印欧言語の伝達ルート(https://ja.wikipedia.org/wiki/インド・ヨーロッパ祖語)
(¹)山口佳紀『印欧語の世界』岩波新書, 1997
(²)Ringe, Don. From Proto-Indo-European to Proto-Germanic, Oxford, 2017
(³)Fortson, Benjamin W. Indo-European Language and Culture, Wiley-Blackwell,2009
(⁴)Mallory, J.P. In Search of the Indo-Europeans, Thames & Hudson, 1991
(⁵)Anthony, David W. The Horse, the Wheel, and Language, Princeton University Press, 2007



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