8 インド中期密教

インド中期密教

そもそも密教とはなんだろう?

コメント===>すでに、「日本密教」、「インド初期密教」に書いた後で、この設問はなんだか変な気がする。でも、密教は非常に多くの様相を示すため、ある側面だけを取り上げて、「これが密教だ!」というのは難しい。

敢えて言うと、大乗仏教を基盤に、三密(印契・真言・曼荼羅観想)などの象徴的・儀礼的手法を用い、神々や仏の加持力を取り入れ、短期間で悟りを得とする仏教、となるのでしょうか。


でも一般的には、護摩を焚き、意味の分からない呪文のような真言を唱え、鐘や太鼓を打ち鳴らしてお祈りをする、なんだか怪しい宗教のような雰囲気がある。さらには、「密教」=「秘密の仏教」なので、隠れて何か怪しげなことをしているのかと思われてしまう。

そうだ、社会的にはそんなイメージで見られていた側面はある。

コメント===>さらに、日本にはほとんど入ってこなかったので、知る人ぞ知る「後期密教」というものがある。そこでは、男性尊と女性尊が合体した像が描かれ、性的な儀礼や反社会的な儀礼が繰り広げられた。ここまでのことを知っている人は、「怪しげな仏教」だ。「オカルトだ」と言いかねない。後期密教について、後に詳しく書く!


仏教はインドで生まれ、約2500年の歴史を持つ。その歴史の中で最後に興隆した「インド密教」は非常に幅広く、いろんな様相を示す。どこを切り出すかにもよるが、日本の空海が広めた真言密教とは、かけ離れたイメージもあるのだ。

何度も言うが、真言密教はインドのある時期の密教が中国に持ち込まれ、それを空海がまとめて整理した日本独自の密教だ。とはいえ、基本はインドの密教だ。それも『大日経』や『金剛頂経』が成立した7C頃を中心とした6〜8世紀ごろのインド密教だ。それをここでは「インド中期密教」と呼ぶ。

この節では、「インド中期密教」について書くことにするが、なるべく空海の真言密教との重複を避け、そこでは書けなかったものに注目する。特に、インド中期密教と空海密教の相違について述べる。(なんだか、真面目な雰囲気が出ているな)

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