出会い
高野山大学へ通い出すと、色々な仏教関係のものを見る機会が増える。さらに、先生や学友との話の中で、新たな知識が増えてくる。もともと仏教について何も知らなかった私にとっては、特に最初の1年は急激にその世界が広がっていった。その中の一つの出来事だ。
図書館で開いたある本を見ていると、今まで見たことのない仏像の写真が目に飛び込んだ。男性尊と女性尊が抱き合っているのだ。形相も凄まじい。手も何本もある(多数の手は、千手観音などもあり、それほど驚きはしなかったが、、、)その本には、髑髏の首飾りをつけた尊格も描かれていたし、血を満たした髑髏の杯を持つ女神が空を飛んでいる姿が描かれていた。

「なんだ、これ!」
今まで、見たことのない尊格の図像だ。
だいたい、男尊と女尊が抱き合っている図像なんて、日本の仏教・密教からは想像できない。
日本は、仏教に神聖なもの、清浄なものを求めるので、こんな性的な様相を示す仏像を受け入れるわけはない!
昔の友人たちに話しても、9割以上は知らない。「え〜〜、それ何」という反応だ。
調べるとすぐに、それが後期密教の尊格や女神の像であることが分かった。
それまで、仏教は神聖な「悟り」を求め僧侶の方が修行に励み、また我々民衆の救済を行うものだと思っていたので、かなりショックだった!
ちょっとたじろいだが、一応学んでおこうと、授業カリキュラムを調べた。
すぐに見つかった!
しかし、1年目はすでに履修が終わっており、2年目に取ろうと思っていたら、その授業がなくなっていた。それ以降、在学4年の間に開講されることはなかった。
後日談になるが、高野山大学卒業後、種智院大学に出向いたが、そこにも後期密教の授業はなかった。
この異様な仏教がどんなものなのか、なぜ起こったのか、どんな教理をもっているのか、ずっと興味を持っていた。授業は受けることはなかったが、調べると、多くはないが、もちろん研究はあった!主に2、3の本をベースに後期密教について自習した。
自習なので、あまり当てにはならない偏見的な知識だが、書いてみたくなった。
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