当たり前の話だが、仏教ではみんな悟りを目指す(はず)。
ところが、どんな修行方法によって、それを目指すかは時代とともに変化してきた。仏教初心者のために(私も、まだまだ初心者だが、すぐ忘れる)悟りを目指すための修行のプロセスの変化を、釈迦の初期仏教の時代から、順次簡単に見てみる。
きっとその中で、後期密教における「性の理論」の実践の特徴が浮かび上がるはずだ。
初期仏教
修行の基本構造は、戒・定・慧の三学が中心だ。
と言われても、分からない。実に仏教用語は難しい。
具体的には、
を軸にした観察だ。ゴールは阿羅漢果の成就だ。
まだ難しいので、さらに脚注をつけた。これでも分からないだろうな〜
初期密教では、比較的シンプルで、要は心の観察と禅定(瞑想)を重ねて煩悩をなくするのだ。
部派仏教
ここでは、仏教教理が精緻化、細分化され、心・心所・法の分析(心をどのように清浄化するか)が精密化された。そのため、修行階梯も細分化され、段階的な悟りの構造がでてくる。各派によって違うようだが、たとえば、説一切有部では
五道体系ができる
- 資糧道:修行に必要なものを集める段階
- 加行道:仏教の教えを聞いても、何のことだかわからなかったのが、何のことか「わかる」段階
- 見道:自分が感覚器官で捉えた対象を真実ではないと知り、物事の真の姿(空性)を知る段階。
- 修道:物事の真のありよう(空性)を深い瞑想の境地において体験する段階
- 無学道:修行の完成、それ以上学ぶもののなくなった段階。
基本的には、初期仏教と変わらないが、初期仏教の実践を高度に理論化・分析化した。
教理の深化に拘りまくった、部派仏教らしい!
大乗仏教
大きな転換があった。すなわち、菩薩思想が出てきて、発菩提心を起こし、菩薩道に入るようになった。実践開始はまず発菩提心と誓願、そして全ての衆生を救済して、最後のゴールは仏果を得ること、悟ることだ。
菩薩の修行は「大乗仏教」のところで書いた。見てない人は見てね!
- 発菩提心と四弘誓願
- 六波羅蜜:布施・持戒・忍辱・精進・禅定・智慧が出てくる
- 十地の修行階梯:菩薩が徐々に十段階をのぼる(十地)
- 五道体系の大乗版(資糧道・加行道・見道・修道・無学道)
- 三十七菩提分法
(後ろ2つは、部派の修行方法だが、大乗に継承される)
技術的には、初期・部派の技術を残して、慈悲と利他(衆生の救済)を前提にした長期的・宇宙的修行体系」に変わった。
初期密教
「密教」と呼べるほど体系化していない時期だ。
主に陀羅尼(真言)・護摩・マントラ・印契などの利用が増える。
灌頂はまだ限定的で、大乗菩薩道の上に付加された形だ。
簡単にいえば、大乗の修行に呪力・儀礼・象徴体系を加えて、「仏の力を借りて修行を加速する」発想だ。
中期密教
密教は文字通り、秘密の教えであり、資格を得たものにだけ示されるのである。
その入門儀式が灌頂である。「灌頂を受けなければ密教修行に入れない」
- 灌頂を授かる
次いで、修行に入っていく
- 三密加持の修行(身=印、口=真言、意=観想)
- 護摩などの実践
- 最終的には自分の中の如来蔵を知るのだ。
このように、儀礼、象徴体系を用いて、短期間の悟りを目指す。


後期密教
これから述べていく、修行階梯だ。
灌頂儀礼に加えて、「生起次第」と「究竟次第」という二段階の体系化がなされている。
「究竟次第」というのが、なかなかのものだ!
- 灌頂儀礼:密教への入門儀式が灌頂だが、性的要素を含むようになる
- 生起次第:仏の世界を観想し仏と一体化するもので、従来のものに近い
- 究竟次第:後期密教特有の生理学的な方法により、人工的に神秘体験をつくりだすテクニックを基とした修法だ。
ここで、注意が必要だ。後期密教の経典はもちろんたくさんあるのだが、それぞれの経典の修行の次第が必ずしも同じではない。経典ごとにかなり異なる場合もある。密教の特徴として、インド師資相承であり個人的に師匠から弟子に伝えられ、それぞれの独自の形態があったようだ。また、いくつかの経典を学ぶ修行者もいたらしい。
そのため、「後期密教の修行階梯はこうですよ」と一般論として書くことは、かなり困難を極める。田中公明は、そのような状況を踏まえ、共通部分を抜き出す場合もあるが、時にはある経典に絞って、その修行階梯を記述している。研究が進めば、これらの一般論・各論が整備されると思われる。もちろん、素人の私としては、「田中公明先生」を踏襲することとしよう。
ちょっと、先走るが、
例えば、「母タントラ」経典である『ヘーヴァジュラ・タントラ』では、体内にあるエネルギーの通り道(気脈)やポイント(チャクラ)を使い、性エネルギーを頭頂まで引き上げる。精液は「菩提心(悟りの心)」とみなされ、これを放出せずに快感を全身に巡らせ、最終段階で「俱生歓喜(くしょうかんき)」という至高の体験に至ることを目的とした。これが、性快感を極大にまで増大させる「楽」のヨーガだ。
父タントラ系では、智慧(「空」)の側面が中心で、死を仮想的に作り出し、その過程で「光明」を見出し、悟りを得るのだ。
その2つが『時輪タントラ』で不二タントラとして統合される。
次のブログでは、その修行過程を見ていこう。
[1]戒と律は仏教徒が守るべき規範だが、戒は処罰されないもの、律は破ると処罰されるものである。
[2] 四禅とは、初期仏教で説かれる禅定(心をひとつの対象に完全に集中すること)の4段階のこと。八定とは、念仏・念法・念僧・念戒・念捨・念天・念出入息・念死の八種に想いをかける禅定をいう(説明になってないな!)。要するに、心を集中して、瞑想すること。
[3] 身悟りへ至るための4つの観想法。身(身体)、受(感覚)、心(心)、法(現象)の4つを観察する瞑想修行であり、ヴィパッサナー瞑想の中核。


の導入-120x68.png)

コメント