6-2 奈良時代の仏教

日本密教

奈良時代においては、国家が仏教を保護し、政治と宗教が密接に結びついた時代だ。聖武天皇が建立した東大寺と大仏(盧舎那仏)に象徴されるように、仏教は国家鎮護(仏の力で国を守る)の思想のもとに保護された。日本の仏教の特徴の一つだ。

その中心地が、当時の都・平城京[南都(奈良)]であり、学問寺として発展した寺院に学派(宗派)が生まれた。これらを総称して南都六宗(なんとりくしゅう)という。

大体、大乗仏教なのだが、倶舎宗のように部派仏教の宗派も混在した。僧侶たちは一つの宗派だけを学ぶのではなく、互いに教義を学び合う超学派的で、教理の研究を行う学僧衆の集まり的なものと言われる。各派共存で、意外と平和な時代だったのかもしれない。次に示す6宗派が存在した。

  • 三論宗(さんろんしゅう):主に中観思想の代表的論書である中論・十二門論・百論を中心に学ぶ宗派
  • 成実宗(じょうじつしゅう):三論宗の付宗
  • 法相宗(ほっそうしゅう):唯識派の思想を学ぶ宗派
  • 倶舎宗(くしゃしゅう)(説一切有部(せついっさいうぶ)):法相宗の付宗(部派仏教の一派)
  • 華厳宗(けごんしゅう):華厳経を中心に学ぶ宗派
  • 律宗(りっしゅう):四分律を学ぶ宗派(上座部の一派)

現存する宗派は、法相宗・華厳宗・律宗の三宗のみで、他は消えた!

現存する南都六宗の三宗派と代表寺院を示しておこう。

1. 法相宗代、表寺院は薬師寺(奈良市):図左

2. 華厳宗、代表院は東大寺(奈良市)図真中

3. 律宗、代表院は唐招提寺(奈良市):図右

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