プロローグ2 入学試験

プロローグ

2020年3月某日、現役の私は東海村の職場で、会議と打ち合わせがまだまだ続いていた。時間が取れない。仕方なく、その日の最後の会議を終えて、東京に出て最終の新幹線に飛び乗り、新大阪に深夜に着いた。翌朝、入学試験会場である高野山大学難波サテライト教室に10時には座っていた。

あたりを見渡すと、爺さん・婆さんがほとんどだ。

「おいおい、大学の入学試験だぞ、えらい年齢層高いなー」

「いや待てよ、自分も退職直前の入学試験で、明らかに爺さんだ」

この時点で、将来の大学生活の予想図が出来上がる。

「きっと暇を持て余した爺さん・婆さんが、時間潰しに大学へ来るのだ」

「ここは、カルチャーセンターか!」

ちょっと憂鬱な気持ちになったが、後にこの予想はめでたく裏切られることになる。

さあ、入学試験だ!試験問題は簡単、というよりは、入学動機を書けばよかった。職業柄試験にはさほど抵抗はなく、予定の分量を書いて、さっさと提出した。書いた内容はあまり覚えていないが、きっと科学をやってきたが、これからは人の心を扱う領域に挑戦してみたい、信仰心とは何かを考えてみたい、などともっともらしいことを書いたのだろう。知らんけど!

入学動機は、もっと煩悩に満ち溢れたものだった!

まずは、退職後の時間をどのように過ごすかということであり、「濡れおちば」にはなりたくない、これまでの仕事にしがみついて細々と「得意技」を続けていきたくない、達成感を持てることをしたい。これは、ほとんど自身の承認欲求を満たすためのものであり、人から認めてほしいと思う心の現れであって、煩悩と言われる欲望の表れである。

さらに、もっと滑稽なのは、もともと持っていた超能力に対する興味を満たしたい、できれば、超能力を身につたい、と思っていたことだ。ほとんど信じてはいないけど、心のどこかで、超科学的、超自然現象は常に興味の対象だった。皆さんは、雑誌「ムー」をご存知だろうか。まさにその世界である。淡い希望をもっていた!超能力問題も、入学後、予想以上の展開を見せることになるが、それは後ほど!

さあ、今度は面接試験だ。呼ばれて、面接会場に入って一礼をする。お若い2人の先生が対応してくださる。若いといってもこれから、仏教を教えていただく「先生」である。敬意をもって接する。ただ、設問の内容は記憶に残っていない。きっとありきたりのことを聞かれたのだ。終了後、慌てて、新大阪に行き、新幹線に飛び乗り、仕事の待つ東海村に帰り、1日を終えた。

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