1. アーリア人以前のインド
インドにアーリア人が入ってきて伝えた宗教が「ヴェーダ宗教」だが、それ以前のインドにも、すでに高度な文明があった。
有名ないわゆるインダス文明だ。
多分、小学校、中学校で世界古代四大文明として学んだはずだ。
モヘンジョダロやハラッパーを中心とした栄えた文明だ。

インダス文明の遺跡
この文明は、計画都市、下水設備、穀物倉庫、広域交易を持ち、かなり発達した都市文明であったようだ。しかし、文字がまだ十分解読されていないため、宗教思想はよく分かっていない。
後のインド宗教につながる要素があった可能性も指摘されている。
2. アーリア人の移動
そこへ紀元前2000年頃からアーリア人が入ってくる。
以前は「騎馬民族アーリア人がインドへ侵略し、先住民を征服した」
と言われていたようだが、現在は、大規模な軍事侵略というより、中央アジア方面から、長期間にわたり移動し、現地文化と融合した、との融和的解釈が強いそうだ。
時期としては、紀元前1700〜1500年頃に本格的に移動したようだ。
彼らの言語はインド・ヨーロッパ語族に属し、言語的には、サンスクリット語、ギリシャ語、ラテン語、ペルシア語などと親戚関係にある。
以前に書いたが、これらの元となった言語(印欧祖語)があったと考えられているが、文献にはなく、まだ謎のままだ。
3. ヴェーダ宗教の成立
この移動してきた人々、アーリア人が伝えた宗教文化が、「ヴェーダ宗教」だ。
中心聖典が、『リグ・ヴェーダ』で、これは「神々への賛歌集」であり、他にも3つのヴェーダ聖典[1]が有名だ。
その特徴を簡単に言えば、「祭式によって宇宙秩序を維持する宗教」
(ちょっと、簡略化しすぎ、、、)。
重要だったのは、火による供犠、呪文、正確な儀礼。
祭式により、「正しく儀礼を行えば宇宙は安定する」としている。
言葉(マントラ、真言)への信仰も重要視された。正しい音声には宇宙を動かす力があると考えられていて、これはヒンズー教を通して、後の密教にも深くつながってくる。
ヴェーダ宗教には、たくさんの神様がいる。例えば、インドラ:雷神・戦神、アグニ:火の神、ヴァルナ:宇宙秩序の神などだ。ただ、後のヒンドゥー教で中心になるシヴァ神やヴィシュヌ神などはこの時代では、まだ主役ではなかった。
祭式儀礼は非常に複雑だったため、「正しく儀礼ができる専門家」が重要視され、それができる人たち、すなわちバラモン階級の人たちが、社会権威を持った。それにより、バラモン中心社会、カースト的秩序[2]ができてくる。
4.内面的探求への転換
ところが、時代が進むと、
「本当に形式的な儀礼だけでいいのか?」
と儀礼中心の祭式に疑問が出てくる。
比較的分かりやすい疑問だ。
そこで内面的探求への転換が起こり、
紀元前700〜前500年頃から、哲学書ウパニシャッド[3]が書かれるようになる。
ここで、インドでの思想は大きく変化・進展する。
外的祭式が重要だったのが、内面認識が重要になる。
ここで出てくるのが、アートマン(自己)とブラフマン(宇宙原理)だ。
「自己と宇宙原理は本来一つである(梵我一如)」という思想が形成される。
「梵我一如」は有名な思想で、こんな簡単に言ってしまっていのかな〜〜。興味ある人は、詳細勉強してください。すいません。
この変化は、インド哲学全体に巨大な影響を与え、後々まで生き残ることになる。
5.仏教登場前夜
紀元前6〜5世紀頃になると、インドでは都市化や商業発展が進み、社会は豊かになってくる。豊かになると、人間は色々と発想するようだ。
その風潮の中で、「儀礼中心主義」への批判が強まり、
「輪廻からどう解脱するか」、「苦の原因は何か」などを考える自由思想家たちが現れる。
これが、沙門(シュラマナ)運動だ。
この流れから、仏教のゴータマ・ブッダ(釈迦)やジャイナ教のマハーヴィーラ[4]などが出てくるのだ。
ヴェーダ文化を背景にしつつも、それを批判的に乗り越えようとした運動が起こってくる。
[1] 4つのヴェーダとは、『リグ・ヴェーダ』:神々への賛歌を集めた最古の文献、『サーマ・ヴェーダ』:賛歌を旋律付きで唱えるための歌本的性格、『ヤジュル・ヴェーダ』:祭式で唱える文句と儀礼手順に関する文献、『タルヴァ・ヴェーダ』:呪法・祈祷などを含む後期のヴェーダ
[2] インドのカースト性は、紀元前1000年ごろから徐々に形成されたと言われている。バラモン(司祭)、クシャトリヤ(武士)、ヴァイシャ(農民・商人)、シュードラ(労働者)の階級がある。
[3] ウパニシャッドとは、古代インドのバラモン教・ヒンドゥー教に属する聖典群で、ヴェーダの最後の部分に位置し、宇宙の根本原理ブラフマンと個人の本質アートマンの一体性(梵我一如)などを説く宗教哲学書。師が弟子に秘義を伝える対話形式が多く、「奥義書」とも訳される。
[4] マハーヴィーラは、ジャイナ教の開祖である。 出家以前の名はヴァルダマーナであった。 クシャトリヤ出身。 仏教を開いたガウタマ・シッダールタ(ブッダ)と同時代の人であり、生存年代には異説も多いが、一説によれば紀元前549年生まれ、紀元前477年死没とされている。




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