仏教を学び始めたころ「バラモン教が変化してヒンドゥー教になった」という説明を聞くことがよくあった。どうも物事を簡単に理解しようという私は、この変化は一本の流れだと思っていた。
「なかなか複雑そうだが、きっと一本の流れで書ける」
「いつか、単純化して理解するぞ」と思っていた。
そのつもりで、このブログも書き始めた。
「仏教とインド哲学」に最初に書いた目次だった。
「バラモン教からヒンドゥー教へ」の内容は、基本的には以下のようなものだ。
- 祭式中心だったバラモン教は内面思想へ向かい始め、ウパニシャッドの哲学が出てくる。
- さらに、沙門運動が起こり、その刺激を受けたバラモン教が、仏教やジャイナ教に立ち向かうため、内面化を加速する。
- その動きを支えるバラモン系正統派哲学「六派哲学」が出てくる。
- バラモン教は、二大叙事詩である『ラーマヤーナ』、『マハラバーラタ』を取り込み、民衆にもバラモン的哲学を浸透させる。
- シヴァ信仰やヴィシュヌ信仰、地域信仰なども取り込み、救済、愛、帰依(バクティ)が重要になり、民衆宗教へと移行する。
- その間に、バラモン勢力と仏教は常に「対立」し、互いに激しい論争をしながらも、互いを深め、その思想を発展させていった。
- 仏教との論争で最も激しいものは、「無我」に関するので、仏教側のその考えの変遷を書いた。
ブログ原稿の下書きを種智院大学のM先生に観てもらった。
「仏教とヒンドゥー教、バラモン教、六派哲学の概念や関係性がかなりあやふやで錯綜している気がします」
との返事。
ガーン!
直接お話を聞くと、言葉は丁寧だったが
「こんなので、インド思想は理解できていない」
「インド思想は、もっと重層的で、時間的、地域的、思想的に複雑であり、簡単に二項対立で記述できるものではない」
「バラモン教からヒンドゥー教への移行は、こんな簡単ではなく、時間的にも空間的にも重層的で複雑で多くの要素が重なり合っている」
さらに
「六派哲学の各派は成立時期も異なり、それぞれ独立性も高く、派閥内部や派閥間にもいろいろな議論もあり、簡単な仏教と六派哲学の二項対立では書けるものではない」
と怒られた。
先生は、紳士なので、もっと丁寧に言葉を選んで、種々の例も含めて話された。気を遣って話していただいたが、言われていることは「君はわかっていないよ!」だ!
「いや〜〜、もっともな話だ」
学者の先生、この分野を研究されている方に、お見せする文章ではなかった。
失敗!
一方、どうも素人的には、以下のような感覚がある。
「そんな難しい複雑なこと言われても、バックグランドもない素人は理解できない」
例えば、「高野山大学に入った時に、仏教の大きな流れを示してほしい」
と思った。同級生たちからも同じような意見を聞いた。
理由は簡単だ、長い歴史の中で、仏教思想はどんどん変化し、複雑になる。
経典は異なることを言う(少なくとも表面的には)。
すなわち、時代により、地域・国により、宗派により大きく異なる。
まずは、大幅に簡単化してでも、1つの流れ、概要を示してほしいと思ったものだった。
そんな要望を先生方にもした記憶がある。
科学で言えば、原子の構造の説明のようなものだろう。
徐々に、複雑な構造を理解できる説明が与えられる。
中学レベルでは、
原子は原子核と電子からできている
高校になると
電子は原子核の周りを回っていると考えられた(ボーア模型)
原子核は陽子と中性子からできている
大学では、
実際には電子は決まった軌道を回るのではなく、電子雲として記述される
電子雲はシュレディンガー方程式の解である波動関数の二乗 によって与えられる
というように、急にシュレディンガー方程式からは入らない。
中学生にそこから教えても、彼らの知識では混乱を招くだけだからだ。
受け入れやすい概念を与えるところから始める。

原子の構造の理解度による変化(中学、高校、大学初級)(By Chat GPT)
当たり前の話を書いたが、
確かに研究者の立場から見れば、バラモン教が1本の流れでヒンドゥー教になった、と言い切ることはできるはずはない。
一方、最初から複雑な歴史をすべて説明すると、今度は全体像が見えなくなってしまう。
さて、どうしよう!
このブログでは二段階方式とすることにした。
まずは、大きな地図を描く。
(私の理解方法は、全体地図をまず書くことから始まる)
細かい誤解は気にしない。
次に、全体地図が頭に入ってから、必要な修正を施す。
これをやると、同じ話が繰り返されること、同じ話が違う文脈で話されることなどが起こり、文章としては(もしくは論文としては)、綺麗でない!
まあ、素人が書くブログなので、気にしないことにする。
と言うことで、以前に書いたブログは捨てて、次回かはバラモン教からヒンドゥー教への変化を書いていこう。
この流れを見ると、インド思想のいろいろな問題、仏教との関わりが見えてくる(はず!)



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