14-2-2 なぜお酒はだめ?

不飲酒 仏教、ここが分からん
不飲酒

仏教を勉強し始めて、驚いたことの一つが戒律だった、と前回のブログに書いた。
「殺さない」「盗まない」「嘘をつかない」
社会生活をしていれば、普通のルールである。

ところが、その中にもう一つある。
「酒を飲まない」
これには少し困った。

実は私はお酒が好きである。
晩酌もするし、友人と飲みに行くのも楽しい。
科学の世界でも、研究の議論が会議後の懇親会や居酒屋で盛り上がることも多い。
昼間の会議では出なかったアイデアが、夜の一杯で突然出てくることもある。
「お酒を飲むな」
と言われると、どうも仏教に向かう気持ちが少し後退する。

「仏教は、ちょっと真面目すぎないか?」

ところが、現実のお寺を見ていると、どうも様子が違う。
これまで多くのお坊さんと会ってきたが、どうもお酒をまったく飲まない人ばかりではない。むしろ、普通に飲む人もかなりいる。
「いやあ、私は弱いんですが」
と言いながら、なかなかいいペースで杯を重ねていく方もいる。
現実は、
戒律はあるが、酒もある
という、状況だ。

不飲酒戒

お酒を飲んではダメだという戒律がある(困ったシロくん、by Chat GPT)

この戒律は何なのだろう。
ここで少し調べてみると、五戒の中でお酒について言っているのは、
不飲酒戒と呼ばれるものだが、その意味は、
「不飲酒戒・不飲酒及び放逸の因となるものを避ける」[1]
すなわち、
「心を乱すものを摂らない」
という意味らしい(ちょっと都合がいい解釈の気もするが、、、)。
つまり問題は、お酒そのものというより、
心の状態を乱さない
ためなのだ。

仏教の修行では、自分の心を観察することがとても重要だと言われる。
怒りが起きる、欲が起きる、そういう心の動きをよく見る。
ところが、酔っていると、それが難しくなる。
この戒律の意味は、その辺りにあるようだ!


では、どこまで飲んでいいのだろうか?

以前、ドイツにいたころ
「車運転する時にビール1杯ぐらいなら問題ない」と言われた。
日本では、飲酒運転は絶対許されないが、今でも、ドイツでは多少の飲酒は許されるようだ。
仏教での酒量の制限も、地域や時代によって変わるのだろう。
日本の僧侶とタイの僧侶を比べると、そう思える!


[1] 五戒の第五戒は、パーリ語では「surā-meraya-majja-pamādaṭṭhānā veramaṇī」といい、直訳すると「酒および放逸(心を散らし、注意力を失わせるもの)の原因となる酔わせるものを避ける」という意味らしい。

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